新納 一哉 | 礒貝 正吾  
コラム第四回
 
ディレクター新納 一哉
超執刀カドゥケウス、もう触って頂けましたでしょうか?
28日から、任天堂様のスポットで、カドゥケウスのワイヤレス体験版が
ダウンロード出来るようになっております。

お話も手術も序の口もいいところですが、カドゥケウスに流れる空気の
ようなものはつかんで頂けるのではないかと思います。

というわけで、開発も終了し、ホッと一息の新納です。
今回は磯貝さんと私で、ゲームの倫理についてのお話をしようかと思います。
書いてるうちにどんどん重くなってしまいましたが、これは一度はみなさまに
言いたいなぁと思っていた事なので、ちょうど良い機会かもしれません。

昨今、多くのゲーム制作の中で「死」は切って離せないものとなっています。
それは、人の感情にダイレクトに訴えかける強い要素だからです。
医療ゲームにおいてもそれは同様で、どうあっても向き合う必要がありました。

よく、倫理的な規制で「いたずらに〜するべきでない」という文があります。
安易に、意味なく、大した目的もなく、人に悪影響を及ぼすのは慎むべきだ、
という意味と捉えています。これに関しては、自分も非常に賛成です。
架空の話だとしても、安易に何をしてもいい、というわけではないと思います。

だから、カドゥケウスでは、いたずらに「死」を組み込んでいません。

不治の病、重病、そして、死。
現実にそれに際して苦しんでいる患者がいるのに、それらを安易にゲームで
お涙頂戴に語るのは、医療ゲームとして不適切な気がしました。
もしそれらを語るべき時があるとすれば、それは、制作者の信念に基づいて、
決して「いたずらに」ではなく、伝えるべき事が有る時だけです。
カドゥケウスは最後までそれにこだわったつもりです。

最近、「ゲームや漫画の影響で〜」という事件を良く聞きます。
様々な意見があるようですが「ゲームは関係ない」とは自分は思いません。
自分達が真剣に作ったものだし、人に影響を与える事もあるのでしょう。
誰かに転嫁するようなことはせず、真摯に受け止めるべきだと思っています。
ゲームの影響が、例えその発端の0.1%だったとしてもです。

逆に考えれば、人に影響を与える事ができるゲームを、私は誇りたい。
自分のやり方次第で、世の中に良い影響を与える事もできるわけで、
そんな事になったら、クリエーター冥利につきるじゃないですか。

今回は医療ゲームというテーマに取り組む上で、本当に色々な事を
考えさせられました。このゲームにはその思いを沢山こめてあります。
カドゥケウスを通して、私はみなさんに何が伝えられるでしょうか。
 
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