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真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY

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塩田信之のDSJと神話世界への旅 最終回「デメテルと古代ギリシアの密儀宗教」

神話におけるデメテルとその娘ペルセポネ

 そんなデメテルですが、ギリシア神話が比較的親しまれている日本でも意外と知られていない存在です。思い返せば私自身も、最初にその名を知ったのはマンガ『アリオン』(安彦良和)からでした。そこでは主人公アリオンの母親として冒頭にのみ登場するのですが、後に知った神話はけっこう違っていました。

 一般的に知られているギリシア神話には、娘であるペルセポネ冥府の王ハデスにさらわれた悲劇の母親として登場します。デメテルは半狂乱状態で娘を探しまわり、ハデスに誘拐されたことを知るとペルセポネの父親で弟でもあるゼウスに返させるよう訴えます。根負けしたゼウスの命令でペルセポネが戻ることになるのですが、ハデスの計略によってペルセポネは冥府の食物「ザクロ」を食べてしまい、1年の3分の1は冥界で過ごさなければならなくなってしまうという物語です。

 いわゆる「冥界下り」神話のパターンとして、イザナギとイザナミイナンナイシュタルのエピソードが思い出されますが、ここでは食べたザクロが少量だったため冥府にいなければならない期間が限定的になっている点が特徴的です。これらの冥界下り譚には四季の移り変わりと作物の収穫サイクル神の死と復活で表現している側面があるわけですが、ペルセポネの場合は冬の間だけ冥府へ行き、その間穀物の女神である母親デメテルが仕事を放棄するため収穫できなくなるという少し詳しい設定が加えられています。「エレウシス密儀」もこの神話を元に、デメテルとペルセポネを信仰することで信者の死後を保証する「ご利益」が謳われていたようです。

 『アリオン』ではデメテル自身が幼いアリオンの目の前で、ハデスに連れ去られるところから物語が始まります。デメテルとペルセポネの役割を合わせた形になっていたわけですね。信仰対象としてのデメテルとペルセポネはひと組の存在と捉えられていることも多いので、そんな解釈も的外れではありません。『真・女神転生DEEP STRANGE JOURNEY』に登場するデメテルも姿かたちは幼い少女ですから、ハデスにさらわれた時のペルセポネとイメージが重なります。

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真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY

対応機種:ニンテンドー3DS
ジャンル:RPG
発売日:2017年10月26日
CERO年齢区分:C(15才以上対象)

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