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真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY

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塩田信之のDSJと神話世界への旅 最終回「デメテルと古代ギリシアの密儀宗教」

原型となる「大地母神」の存在

 デメテルとペルセポネの物語は原型を辿っていくと、「母」を意味する「メテル」「娘(処女)」を意味する「コレ」「母娘」関係の概念がまずあって、「母」が肉付けされてデメテルとなり、「娘」がペルセポネに発展したものと考えられます。この関係性は、デメテルが母レアと同一視されたり、レアがその母である大地母神ガイアと同一視されたりする関係にも似ていますから、極端な解釈をするならすべて同一存在だった可能性があります。ガイアが大地となり、レアはモンスターばかり生んだことになっていますが、地母神としての役割を分担させたものかもしれません。

 ウラノスやクロノス、ゼウスが妻だけでなく娘とも子供を儲けたりするのも、古代においては近親婚が多かったというだけでなく、役割分担の結果そうなったとも考えられます。例えば同じ密儀宗教のディオニュソス教ではディオニュソスをゼウスとデメテルの子とする考え方があって、オルフェウス教ではゼウスとペルセポネがディオニュソスの親と伝えられていたりする混沌とした状況も、元々女神たちが同一存在だったと考えれば不思議なことではありません。

 そんな考え方を推し進めていくと、元々さまざまな土地で信仰されていた名前があったりなかったりする母神存在がいて、「ギリシア神話」として体系化されていく中で名前や役割が決まっていったようにも思えます。アフロディテやアルテミスも元は同じ、「偉大なる大地母神」の各地域に顕現した「アヴァター」だったという考え方です。となると、大元の存在がなんだったのか、という疑問が頭をもたげてくるわけですが、このあたりをちょっと意識しながら最後まで遊んでいただけると、より深く楽しむことができるかもしれません。

 というところで、『DSJと神話世界への旅』はこれにて終了となります。またの機会がありましたら、その時に。


塩田信之(NOBUYUKI SHIODA)

故成沢大輔氏と共に「CB’s PROJECT」を立ち上げ、『真・女神転生のすべて』『デビルサマナー ソウルハッカーズのすべて』など、これまで数多くのメガテン関連の攻略本やファンブックに携わってきたフリーライター。近著は『真・女神転生IV FINAL 公式設定資料集+神話世界への旅』(一迅社)。

※ゲームに関する記述は取材と開発スタッフによる監修に基づいています。歴史・宗教観については諸説あり、ライター個人の解釈に基づいています。

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真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY

対応機種:ニンテンドー3DS
ジャンル:RPG
発売日:2017年10月26日
CERO年齢区分:C(15才以上対象)

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